短期的見通し速報blog
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YS総合研究所では、論理的かつ統計的に一定の根拠がある投資方法の開発を目指しています。長期(1-2年)、中期(3ヶ月)、短期(1ヶ月)に分けて、グローバルな投資資金の視点で、数値的根拠に基づき、それぞれの見通しを考察し、事前設定したルールや銘柄選定条件に合致した銘柄を毎日公開し、その後の成果をフォローして選定条件のブラシアップすることを目標としております。当サイトを訪問された方の株式投資スキルの向上の一助になれば幸いです。なお、実際の投資は自己責任でお願いします。


■短期的な今後の見通し  09/10更新
[市況]
9月9日、NYダウとナスダックは大幅上昇しました。9月10日の日経平均先物は、前日比150円高で寄り付くと、午前中は240円安から300円高の間で上下し、午後は200円高から130円安の間で上下して、結局、90円安で取引を終えました。日経平均の終値は56円安の36159円で、出来高は17.13億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。

9月9日の米国市場では、前週末にかけて大幅に下げた後とあって、主力株を中心に見直し買いが入りました。FRBが17~18日開催のFOMCで利下げに踏み切るとの公算は大きく、金融緩和が景気を支えるとの見方が投資家心理を支えました。また、半導体株が買い直されたことも好感されました。NYダウは3営業日ぶりに反発し、ナスダックも反発しました。
9月10日の日本市場では、前日の米株式市場でハイテク株が買われた流れを受け、値がさの半導体関連株の一角に押し目買いが入りました。ただ、米大統領候補によるTV討論会や8月の米CPIの発表、株価指数先物・オプション9月物のSQ算出など重要イベントを週内に控えて様子見ムードも強く、積極的に買い進む動きは限定的でした。結局、日経平均は6日続落しました。

[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-12.3%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-3.6%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

NYダウは、9日線の下にありますが、200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。ナスダックは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

日経平均とナスダックの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2420円ほど割安であることを示しています。また、NYダウとの差は、-8.6ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3110円ほど割安であることを示しています。

日経VIは27.74と前日より低下し、VIXも19.45と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を大きく上回っています。NYダウと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
市場は現在、「中国景気が世界経済に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の4~6月期のGDP改定値は前期比年率3.0%増で、速報値の2.8%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、まちまちです。

米国の7月の製造業受注、7月の小売売上高、7月の耐久財受注、8月のISM非製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、7月の鉱工業生産指数、7月の消費者物価指数、8月のISM製造業景況指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げが遅れるという面では弱気材料です。

米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.2万人増で、市場予想の16.0万人増を下回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.3%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡大するという面では強気材料です。

米国の6月の中古住宅販売仮契約指数、7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、7月の住宅着工件数、8月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げ時期が遅れるという面では弱気材料です。

米欧日の金融政策に目を向けます。
市場は、FRBが2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識しており、9月利下げ開始への期待を高めています。
ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。
一方、日銀は、2%のインフレ目標を達成できる見通しがついたとして、利上げに踏み切りました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

金融不安の気配を知る上で目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は、今年に入り上昇を続けています。直近では、9月4日が5.2560%、9月5日が5.2076%、9月6日が5.2002%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年10月10日に記録した5.6873%がここ5年の最高金利です。

日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.90、PBRが1.31となっています。直近の四半期決算発表にともない、予想ROE(企業の今期収益力の見通し)は8.8%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸び率は+2.5%で、こちらは3か月前より1.4ポイント改善されています。

イールドスプレッドは、日本-5.8、国-0.7と日本が5.1ポイント割安ですが、OECDの2025年予想実質GDPの伸び率(日本+2.9、米国+3.9)は1.0ポイント日本が下回っています。これらを総合すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.10ポイント(日経平均換算で56820円)割安となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYダウが上昇したにもかかわらず下落しました。NYダウに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.8%となり、日経平均の割安幅は50円から680円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-680円~-50円の間で推移しています。

日米の長期金利の差は、2.86ポイントから2.82ポイントに縮小しましたが、ドル円相場はやや円安方向に推移しました。

テクニカル面では、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムに対する懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。
ECBは利下げに踏み切っています。

9月10日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。大統領候補者によるTV討論会が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の推移も株式相場に影響を与えそうです。

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを610円ほど下回り、下値は目安のラインを160円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+300円(現在36160円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在34570円近辺)が下値の目安になりそうです。

日経平均は6日続落しました。FOMCを通過するまでは、2番底を探る動きが続きそうです。
■今週の日経平均の動きと投資スタンス  09/08更新
[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、景気後退懸念から半導体などハイテク株を中心に売りが広がり、株価指数は大幅に下落しました。
中長期的には、「ウクライナ紛争の長期化」「中東情勢や東アジア情勢の悪化」「金利上昇と世界経済の減速」「エネルギーコストや生産・供給コストの上昇」「中国の不動産バブル崩壊」「スタグフレーション到来」といったリスクに引き続き注意が必要です。

2025年の名目GDP予想値を勘案すると、日米市場のイールドスプレッドの差は、日本市場が4.07ポイント割安であることを示しています。割安の要因は、PERの差(S&P500のPERは22.6、日経平均採用銘柄の今期予想PERは15.1)や金利の差、GDP伸率の差などです。2024年の日米のGDP伸び率の差が、OECD予想値に比べて4.07ポイント拡大する(日本が下方修正されるか、米国が上方修正される)か、または日経平均採用銘柄の今期予想PERが39.1程度になるか、あるいは日経平均が94240円程度となれば、日米市場は均衡する、と解釈できます。中長期的には、日本市場は57850円ほど割安です。ファンダメンタル的には、日本市場は57850円ほど魅力に欠けた状態である、とも言えます。

[日経平均上昇の条件]
日経平均がさらに上昇するためには、

1.米国市場の上昇
2.従来以上の今期予想増益率のUP
3.日米の金利差の拡大と一段の円安
4.日本の2025年GDP予測値(+2.9%)の上方修正
5.外国人の買い越し

などの環境が必要です。
最近の動きを見ると、

1.先週のNYダウの週足は、陰線となりました。日足は200日線の上にあり、一目均衡表の雲の上にあります。ナスダックの週足も陰線で、日足は200日線の上にあり、一目均衡表の雲の下にあります。NYダウが25日線の上に戻れるかどうかが目先の注目点です。
2.日経225採用銘柄のROE予想値は+8.8%で、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、利益伸び率は+2.5%で、こちらは3か月前より1.3ポイント改善されています。
3.日米の金利差は3.02から2.87に縮小し、ドル円相場は1ドル147円台から141円台を円高方向に推移しました。
4.OECDが発表した2025年の実質GDP伸び率の予想値は、日本+2.9%、米国+3.9となっており、この面では日本市場が1.0ポイント劣っています。
5.8月第4週は売り越しでした。9月第1週も売り越しとなった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。


[テクニカル視点]
直近の日経平均株価は、一目均衡表の雲の下にあります。総合乖離率は-10.0%とマイナスに転じ、200日移動平均線乖離率も-2.9%とマイナスに転じました。3つの要素すべてがマイナスであり、中期的トレンドには赤信号が点灯しています。また、日経平均は9日線と25日線の下に位置しており、短期トレンドにも赤信号が点灯しています。

日経平均とナスダックの200日線乖離率の差は-4.9ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1780円ほど割安であることを示しています。また、NYダウとの差は、-6.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2440円ほど割安であることを示しています。

NYダウは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。ナスダックも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日本市場はNYダウとナスダックの双方に対して弱い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標であるVIXは、22.4と前週より上昇しました。日経VIも29.1と前週より上昇しました。

[今週の見通し]
米国市場では、「米景気後退」「中東情勢や東アジア情勢の悪化」「ウクライナ危機」「インフレと金利上昇」「EU圏のエネルギー不足」「中国の不動産バブルの崩壊」「信用収縮にともなう金融市場の混乱」などがリスク要因として意識されています。
直近のLIBOR金利は上昇傾向にあり、金融不安の再燃に引き続き注意が必要です。

ドル円相場は、6月につけた162円台をピークに、円高方向に転換しています。今週は、1ドル141円台から144円台での動きが予想されます。

今週の米国では、8月の消費者物価指数(CPI)と8月の生産者物価指数(PPI)が発表されます。大統領候補によるTV討論会や、9月のミシガン大学消費者信頼感指数にも注目が集まるでしょう。ユーロ圏の政策金利、中国の8月のCPIとPPI、英国の8月の失業率なども相場に影響を与えるでしょう。

先週の日経平均は、想定レンジを下ぶれしました。上値は目安のラインを1640円ほど下回り、下値は目安のラインを710円ほど下回りました。今週の日経平均は、25日線(現在36950円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在33540円近辺)が下値の目安になりそうです。

今週は、米国市場にくすぶる景気後退懸念から半導体株売りが続きそうです。日経平均は、2番底を探る展開が続きそうです。

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