[市況]
19日、NYDowとNASDAQは下落しました。20日の日経平均先物は、前日比100円安で寄り付き、前場は30円安まで下げ幅を縮めた後は130円安まで売られました。後場は、安値圏でもみ合ったものの、徐々に戻し、最終的に60円安で引けました。日経平均は51円安で引け、出来高は21.3億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、430万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「売り」が有利の状態です。

19日の米国市場は、高値警戒感が強い中、半導体株の投資判断引き下げをきっかけに幅広い銘柄に利益確定売りが出ました。原油が下落し、エネルギーや素材株が売られたことも相場を押し下げの要因でした。
20日の日本市場は、米市場の下落を受けて売り先行で始まりました。相次ぐ増資による需給悪化懸念も引き続き重しとなり、前引けにかけて120円ほど下落する場面もありました。ただ、その後は三連休を控えたポジション調整や、値頃感に伴う自律反発買いも入り、下げ渋る展開となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあるので、短期トレンドには赤信号が点っています。総合乖離率は-9.5%とマイナス幅を広げ、200日線との乖離率は+1.6%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあり、3つの要素のうち1つがプラスなので、中期的トレンドには黄信号が点っています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線・25日線・75日線および一目均衡表の雲を下回っています。
NYDowは、9日線・25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にあります。NASDAQは、25日線・75日線・200日線および一目均衡表の雲の上にありますが、9日線を下回りました。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点っています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が15.8ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は、1.5ポイント縮小しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が0.8ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国と中国における実体経済の見通し」「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。
米国の7月〜9月期のGDPや、10月のISM製造業景況感指数、10月の小売売上高などは、市場予想を上回っています。米企業の7月〜9月期決算は概ね好調で、労働生産性指数は上昇しました。一方、住宅関連では10月の住宅着工件数が大幅に減少しました。11月の消費者態度指数も前月を下回り、景気指標はまちまちです。10月の失業率は10%を超えています。
ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、地銀の不良債権問題や、ノンバンク大手CITの破綻懸念は相変わらずくすぶっています。FRBは当面、低金利政策を維持するようです。
オーストラリアの中央銀行が利上げしたことを見るに、世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に取って代わられつつあるようです。為替は今後も、金利差の変動に大きく左右されるでしょう。
世界景気は底を打ったように見えますが、前年からの落ち込み幅は小さくありません。輸出の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。加えて、新型インフルエンザの蔓延が欧米やアジアの経済を停滞させるのでは、との懸念も無視できません。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は19日、下落しました(1月高値7.59ドル・3月安値1.02ドルに対し、現在4.26ドル)。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERが32.2、PBRが1.17となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率ほどは下げませんでした。結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-5.5%となり、日経平均の割安幅は540円に縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間、-690円〜-390円の間で推移しています。
今夜の米国市場では、主要な経済指標の発表はなさそうです。下落傾向が続くかどうかに注目したいと思います。
日本市場の出来高は低水準でセリング・クライマックス到来とは言えません。ただ今日はNT倍率が若干減少しましたので、昨日までの動きの逆の動きが出てきたと言えます。この動きが今後続くかどうかにも注目する必要があります。今後の日経平均は26週線の9340円をうかがう動きとなりそうです。